東京高等裁判所 昭和32年(ラ)584号 決定
記録によれば、抗告人は、渋谷簡易裁判所が同庁昭和三二年(サ)第四九六号建物収去命令申請事件につき同年五月二一日にした建物収去および費用前払の命令に対し、東京地方裁判所に即時抗告を申し立て、東京地方裁判所がこれを同庁昭和三二年(ソ)第四一号事件として審理の上同年七月九日抗告人に送達により告知した抗告棄却の決定に対し、更に当裁判所に即時抗告を申し立てるため、同年七月一五日抗告状を原裁判所に提出したところ、同裁判所はこれを同庁昭和三二年(ソラ)第八号事件として受理した上、右抗告は民事訴訟法第四一九条の二の規定に基きなされたものであつて、適法な抗告提起期間を経過し不適法であり、かつその欠缺は補正することができないとの理由に基き、右抗告を却下したことが明らかである。
前記東京地方裁判所昭和三二年(ソ)第四一号事件の決定は、抗告裁判所の決定であるから、その告知の日から一週間の期間内に更に抗告を申し立てることが許される。
もつとも、抗告人が右抗告状として原裁判所に提出した「建物収去命令の決定に対する再抗告申立書」と題する書面には、東京地方裁判所の前記決定は憲法第三二条に違背するから、民事訴訟法第四一九条の二の規定により再抗告の申立をする旨の記載があるが、右申立書の趣旨とするところは、原決定は違法でこれに不服であるから抗告を申し立てるというにあり、民事訴訟法第四一九条の二云々の字句は、抗告申立の根拠規定に関する抗告人の単なる法律見解を表明したものにすぎず、しかもそれは法律の誤解に基くものであること、右申立書の記載を通読しかつ関係法規を検討すれば自ら明らかであつて、裁判所は申立人のかかる見解に拘束される筋合でないのはいうをまたないところである。
(渡辺葆 牧野 青山)